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ピンクとグレー 初見感想

2016年1月9日。ついに、この日がやってきました。1年前から待ち望んだ、俳優・中島裕翔の銀幕主演デビュー作。原作・加藤シゲアキ。監督・行定勲。共演に菅田将暉夏帆柳楽優弥。そんな世界があるんだろうか、とさえ思ったその日が、きました。

※以下、映画の内容に濃く触れているので未視聴の方は絶対読まないでください。どんなに察しがついてたって、この映画は初見の感情こそ大事だと思うから。








私は、10月から見たくて見たくて、でも試写会も映画祭も先行上映も外れたり予定が立たなかったり。当日も休みが取れなくて、泣く泣くバレリーノのリアタイを諦めてレイトショーで見ました。
映画の前評判やインタビューで一番気になってたのは、原作者であるシゲさんの「まぁ、わかりやすくなってるよね。」という感想。裕翔くんが、もっと感想聞かなきゃ、って思ってコンサートで「感想教えてください」と言った、最初の感想。試写室のトイレで、主演俳優の裕翔くんに漏らされたその感想。自分の初めて書いた小説の映画化に対して、あまりにもあっさりした感想。果たしてそれは好印象なのか、そうじゃないのか。そこがずっと気になってました。

映画を見て、そのシゲさんの言ってたこと、また先に見てた原作を読んでる方やシゲさんファンの方が口にした違和感、の正体がちょっとわかりました。

映画「ピンクとグレー」は、わかりやすい映画です。

わかりやすいということは、何らかの要素が取捨選択されて、切り捨てられたということ。
行定勲監督は、この「ピンクとグレー」という一編のセーターを、糸の一本一本に至るまで紐解いて、ブランケットにした。みんなが掛けられるように。そこで選ばれたのが、「芸能界の光と闇」という主題。「ピンクとグレー」というイメージに合致してますし、一般視聴者、原作を手に取ってない人にもわかりやすく受け入れられるでしょう。努力していて人望の熱いごっちと、何にもしていないのに嫉妬と羨望の塊のりばちゃん。そうやって再構築して、中島裕翔に一人二役演じさせて、芸能界の象徴、現実の人間として柳楽優弥菅田将暉夏帆を登場させる。その対比はとても面白かったですし、よくできてました。裕翔くんもよく引き立てられてた。

でも、そこで抜け落ちてしまったものこそ、原作で私が一番好きだった所です。
「絶望的に美しいこの世界に僕は君と共にある」。
この映画では、ごっちとりばちゃんは共にあってはくれませんでした。最後に、裕翔くんはごっちへの訣別としてデュポンのライターをごっちのポスターへ向かって投げつけます。「その先」の、訣別。原作では描かれなかった部分です。でもそんなこと、決めないで欲しかった。

行定勲監督は、「この映画をジャニーズ映画だという人の気がしれない」「青春映画を撮った」と言いました。
「ジャニーズ映画」を、「ジャニーズアイドルを客寄せに使った幼稚な女子供向けの映画」という文脈として読むのならば、この映画はジャニーズ映画ではないでしょう。
しかし、この作品は、ジャニーズという視点から芸能界を見ている原作者が書き、小学生からジャニーズしかしらない役者が主演を張った映画です。そういう意味で、ジャニーズの映画である筈なのです。
ジャニーズ。男性アイドルがユニットを組んだり、グループを組んだりして、友情とも愛情とも違うなにかを育んでいく不思議な空間。
そんな彼らが大好きな私が、大好きなものの1つに「シンメ」があります。
にのあい。じんかめ。やぶひか。やまゆと。
多くのジャニヲタが、ピンクとグレーをやるならこのシンメ、と夢想してきたように、ピンクとグレーのごっちとりばちゃんは、「シンメ」に近い関係性だ、と思います。
そのとき人気の二人だったり、人気の一人を押し立てるようにくっつけられたもう一人だったり。シンメには、それぞれの物語があります。
二人同時に有名になれたり、一人だけ人気が出たり、グループ結成のときに引き裂かれたり。
運命のようにくっつけられた二人は、二人だけの関係性を作っていくのです。

「彼の成功と飛躍を誰よりも願っていた、しかしもう一方で僕は彼の挫折と転落も祈っていた」

劇中劇の裕翔ごっちは、りばちゃんのことを信じ、りばちゃんに同じ所へ来て欲しいと切に願って、そのための策を講じて、りばちゃんにひたむきに目を向けてた。どんどん変わっていく自分の周りの状況を必死に受け入れて平気な顔をしながら、時に不安そうな目で、りばちゃんを見つめてた。裕翔くんだけが、原作のウエットなごちりばの関係性を体現してた。思った通りのごっちが、そこにいた。

でも、脚本も演出も、決してそうじゃなかったですよね!!!!

少なくとも私にはそう見えました。
ごっちの芸能界に染まっていく所もあんまり描かれないし(裕翔くん芸能人ルックはかっこいいけど)、香凛のエピソードは丸切りされるし(デュポンのライター唐突過ぎんだろ)、あれじゃぁ劇中も62分後もりばちゃんただのヤりたいだけの思春期男子じゃないか。
(でも62分後の裕翔くん、ちゃんとどうしようもないクズりばちゃんだったよね…AV見てごっちごちの身体で幼馴染の女のコ押えつけそうだったし、働かずに女のコに養ってもらってそうだったし、女優と一発ヤりたそうだった*1

そう描く方がわかりやすいのは十二分に分かるけど、私はりばちゃんにシゲさんを、裕翔くんを重ねて見てたので、、私のみてたりばちゃんは女のコに熱い身体押し付けて押し倒すような度胸無いし、あんな自暴自棄じゃなくてちゃんと大学行っていろいろ悩むし考えるしごっち経由じゃない仕事はきちんとひたむきにやるし、あんなクズに描かれると反応に困る。ひたすら困る。

全然感情移入できないし、あれほどクズだとごっちの「変わってあげるよ」とか唐突すぎるじゃん?りばちゃんみたいなひとが有名になるべきなんだ、必要なんだ、っていう台詞にも全然説得力がないし、第一映画のごっち、りばちゃんのこと劇中劇もその後も全然好きそうじゃ無い(爆笑)ごっち、ただのシスコンの死にたがりである。
62分後の現実世界のごちりばはすごいよね、シンメ感まっっっっったく無いもんね。あれは萌えられないよね…柳楽くんの存在感やべえ、しか感想が残らない。

さてここまで2,000字語ってきたのが、「違和感」の正体かな、と思うわけですが、別に私そこを批判してるわけでは無いです。
行定勲監督がそこを外したんだな、と私が思っただけで。そこを読み取らなかったのか、読み取れなかったのかはわかりません(何らかの媒体で語ってらしたらごめんなさい、全部はチェック出来てないです)。そのジャニーズのウエットさはきちんと描いても面白いのジャニヲタだけかもしれないし。
でも、私にとってのピンクとグレーでは、とっても大事なことだった。そこだけ、書き残しておきたかったのです。

箇条書き雑感
・ゆーとの顔がとにかくうつくしい
・ゆーとを見るときはJK1裕翔担の気持ちで見てるのでいちばんギュンっしたシーンは菅田りばがサリー押し倒して逃げ出して裕翔ごっちにすがりつくシーン、のサリーを受け止める腕
・てゆうかサリー改変されすぎじゃね。あのサリー「自分の色を受け入れられなかったのよ」とか決して言わなさそうだし芸能人じゃない一般の女のコってとこだけ強調されすぎ。
・とにかく死にたいごっち
・とにかくヤりたいりばちゃん
(最低の感想)
・裕翔のベッドシーン衝撃的だった…裕翔的にはアクションシーンのようだったらしいけど、あれ山ちゃんにはできないよね…山ちゃんの感想聞きたい

でもとにかく、裕翔くんがごっちを体現してくれて、裕翔くんが銀幕できちんと俳優をしてて。一瞬たりとも中島裕翔が見えなくて、そこがすごいよかった。何回でも見に行きたい。俳優中島裕翔の、銀幕デビュー作にしていつまでも語り継がれる代表作になるでしょう。裕翔くんが、主演をやってくれてよかった。シゲアキさんが、この作品を書き上げてくれてよかった。この世界に、生きててよかった。そう思えた、作品でした。あと2回は見に行く予定があるので、また考えたいと思います。とりあえず、菅田将暉くんがオススメするようにあの成瀬が演じてると思って前半を見たい。

*1:感想が最低